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エンジニア志望の大学生。SFっぽい技術が好き。ITブログ界のエヴァンジェリストを目指したい。

これから数学を学ぶ人に向けて 前半

 こんにちは山本です。本記事は学問的な記事ではなくいわゆる「数学を学ぶための入門マニュアル」となっています。前半では大学以降の数学ついてのガイダンス,後半では数学書を読む上で必要となる具体的な前提知識についてまとめました。読者は数学科に進学を検討している方,数学科新入生の方,趣味的に数学を独学し始めた方を想定しています
また本記事は個人的な意見に加え,佐藤康隆著作「数学ビギナーズマニュアル」を多分に参考にしています。詳しくは本でご確認ください。

 

 

1. 学ぶ意義

数学を学ぶ上でのモチベーションは人それぞれかと思います。単純に好奇心で学びたい,数学教員になりたい,機械学習などの他分野の理論を理解するために数学的知識を身に身に付けたいなど色々とあるとは思います。しかし多くのひとにとって数学は難しく,壁にぶち当たることの連続です。そんな学習コストの高い数学ですが「学ぶ価値はある!」と私自身は考えています。そこで最初に学ぶメリットについて確認してみます。

 

学問的魅力 : 

数学はその結果が普遍です。とても手軽に始められ紙とペンがあれば始められます。また数学の言葉は世界共通なので国際性が高いです。

そしてその性質上抽象度が高く,個々の事象によらず統一的に扱うことが出来ます。社会科学であろうが物理学であろうが同じ方程式を用いていれば統一的に扱えます。

私の周囲でも数学の沼にはまった人たちは言葉通り「命をかえて」数学に時間を費やしていました。ひとによってはそれだけの魅力があります。

 

クリティカルシンキング :  

数学に強い人は「行間を読む癖がついている人」が多い印象です。数学の勉強では常に行と行の間の論理を確認しながら進むので自然と身に付くのでしょう。

また見えない構造を考えることが得意になります。数学をしていると「N次元球面」とか「完全不連結多様体」などイメージできない対象をアタマに思い描きながら研究をしているので、抽象的構造のイメージ作りに長けています。

行間を読む,物事の構造をとらえる能力のいずれもクリティカルシンキングにおいて必要不可欠な能力です。

 

読解力 : 

数学は定義通りに正確に読解することが必要です。当然ほかの学問でもこのことは必要なのですが数学ではとりわけ重要です。個人的には国語の評論文読解力に近い気がします。必然的に数学をすることで読解力,理解力の向上が考えられます。

 

思考の忍耐力 : 

これはあまり聞いたことがないですが個人的にはかなり感じているメリットです。数学には基本的に答えがありますが自力で解を出すことは困難な場合が多いです。したがって一つの問題を解くのに非常に時間がかかります。結果として一つの問題に集中して考え続ける忍耐力が問われます。

社会では答えがないもの,解決が困難な問題が多いです。その問題に対していろんな角度から論理的に考え続けられる能力は重要でしょう。

 

数学力そのもの : 

半世紀前ほどから経済学,金融工学,自然科学の様々な分野で数学の応用が広がっています。特に近年はコンピュータサイエンス分野での応用が加速しており,第3次AIブームもあって数学力のある人材の需要が社会的にも上がっています。

 


2. 大学からの数学ついて

次に「大学からの数学」について説明します。説明の理由は高校までとはかなり毛色が異なるので注意する必要があるからです。「高校までの数学は好きだったけど大学からの数学は嫌い」みたいな人は割といます。ミスマッチしないように内容を確認しておきましょう。

 

マイルストーンが曖昧

これは大学からの勉強すべてに共通していますが高校までのように定期テストや模試があるわけではありません。(期末試験はありますが)点数を追い求めれば勝ち,という分かりやすい目標がないので目的を見失いがちです。

したがって自主性が求められ当事者意識をもって勉強しないといけません。好奇心ドリブンなモチベーションがないと大学での勉強はあまり面白くないでしょう。

 

パターン化されていない

大学での数学は論理的思考と発想力がもとめられます。大学入試までは「パターン暗記」みたい勉強法があるようにわりと暗記で解けます。しかし大学からの数学はパターン暗記では立ち向かえないことが多いです。そもそもパターン暗記できるほど演習問題が豊富でないです。感覚的には入試問題集にある問題を初見で解いていく感じです。したがってきちんと論理だてて記述する能力が必須です。なんでそんな発想が思い浮かぶのかわからないような証明がかなりあったりするので,研究を志すのであれば発想力も育む必要がありそうです。

 

証明問題が主になる(数学科)

文字通り計算問題よりも証明問題が主になります。したがって証明問題や抽象度の高い話題が好きな人は向いているでしょう。パズルっぽい問題解くのが好きとか,式変形や計算問題好きとかの人は数学より物理や工学とかの方が向いてる説はわりと聞きます。

 

周りのレベルが高い

人によるとは思いますがたいていの人は周囲の出来る人間に挫折感を味わうことになるかと思います。レベルの高い大学になればなるほど感じることでしょう。おそらく数学をしたいと思う人の多くは高校までの数学は得意かと思います。しかし数学科に来る学生というのはそういう人が多いです。したがってその中で自分より出来る人はたくさんいるでしょう。「得意だから行く」みたいな安易な理由はわりと危険です。

 

以上が前半のガイダンスになります。後半は脅しみたいな感じになってしまいましたが,意外と把握していない人も多いと思うのできちんと把握しておいたほうが良いと思います。後半は数学書を読む上で必要となる具体的な前提知識についてまとめていこうと思います。