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エンジニア志望の大学生。SFっぽい技術が好き。ITブログ界のエヴァンジェリストを目指したい。

2020 JAIST 院試体験記

  こんにちは山本です。この度はJAIST第二回(10月)入試に合格しました

 

  本記事では大学院受験までの経緯と試験の体験談を書いていこうと思います。(具体的な対策については別の記事に書いたので今回は割愛します。)今後JAISTの受験を考えている方がいたら、情報収集の一環として参考にしてください。

 

対策記事↓

 

 

 

JAIST受験まで

 

 私は現在M1で別の大学院(理系)に在籍している身で現在休学中です。一度は理論系の専門へ進学したものの実際にやりたいこと,なりたい将来像がいまの専攻では結びつかないと感じ思い切って大学院ごと変更する道を選びました。

 

 大学院選びは

   1. やりたい研究ができるか  

   2. 希望するキャリアにとって有意義か  

   3.  経済的に通えるか  

 

の3点を軸に選びました。 結果的には東京大, 筑波大, IAMAS, JAISTが候補に挙がってきました。実際は受験難易度も踏まえてJAISTを受験することにしました。

 

  その後JAISTのオンライン説明会,教員面談を受けました。今年は新型コロナウイルスの影響で研究室訪問は出来ませんでした。このときにやりたい研究について話してフィードバックをいただきました。私自身は興味の幅が割と広かったので3人の教員の方と面談し志望研究室を絞りました。

 

 

入試準備と対策

 

 JAISTの入試は研究計画書,およびそのプレゼン(7分),面接によって合否が決まります。よってなにか勉強をするというより興味のある研究分野の論文やメディアから情報を収集することが大事だと思い対策をしました。

 

   1.  志望研究室の教授のHPや論文を読む

 

   2. 自分にとってワクワクする研究をしている研究者を探してそのひとの論文を読む  +  関連分野の専門書を読む

 

   3. よくわからない言葉等があったら適宜調べる

 

  この3つのサイクルを行う中で自分の研究計画を練っていきました。また研究計画書は1000字以内で書かなければならず結構短いです。なので具体的な構成を書くというより研究背景や動機,研究の目的,意義や新規性などを簡潔にしっかりと書くことが求められていると感じました。実際に書いたあとは第3者に添削をお願いして研究計画書をブラッシュアップさせていきました。

 

  またプレゼン資料は研究計画書の内容説明になるので研究計画書の視覚的な補助となるように意識して作りました。私は研究のプレゼン資料を作るのが初めてだったので,これも友人や教授の助言のもと作成しました。

 

  研究計画書とプレゼン資料ができてから当日まではプレゼンの練習や想定される質問に対しての回答を考えて過ごしました。とくにプレゼン練習は本番状況と同じWebexというオンラインミーティング用サービスを利用し時間を意識してオンライン下で行いました。これも第3者に聞いてもらって行いました。

 

 

当日

 

  webexを利用してオンライン受験。7分のプレゼンテーション,その後23分の面接がありました。

 聞かれた内容としては、

 

    1. プレゼン内容について質疑応答

 2. 研究にむけて勉強していること

 3. 英語はできるか, 英語の論文は読むか

   4. JAISTではどんな講義を受講したいか

 

でした。ほかの方の体験談だと知識系の質問も問われているようですが私はありませんでした。プレゼン内容の質問がかなり多くて10個近くありました。ほかの方も書いてありますが結構突っ込まれます。(煽るようなのも飛んできます)ここら辺はプレゼン内容,試験官次第といった感じのようです。もちろん知識系の質問にも答えられるよう準備はすべきでしょう。

 

 私自身質疑応答自体はうまく答えられていないものもありましたがなんとかなったので,発表内容に対して自信をもってなるべく論理的に応えようとする姿勢が大事だと思います。

 

 

試験後

 

おおよそ2週間後に合格発表があり無事合格していました。 

 

 以上、受験の流れを説明しました。あくまで私個人が体験したことですので、他の方々がどうだったのかは分かりません。こんな受験者がいたという事実として受け取ってもらえればと思います。対策について詳細に書いた記事もあるので良ければご覧ください。↓

これから数学を学ぶ人に向けて 前半

 こんにちは山本です。本記事は学問的な記事ではなくいわゆる「数学を学ぶための入門マニュアル」となっています。前半では大学以降の数学ついてのガイダンス,後半では数学書を読む上で必要となる具体的な前提知識についてまとめました。読者は数学科に進学を検討している方,数学科新入生の方,趣味的に数学を独学し始めた方を想定しています
また本記事は個人的な意見に加え,佐藤康隆著作「数学ビギナーズマニュアル」を多分に参考にしています。詳しくは本でご確認ください。

 

 

1. 学ぶ意義

数学を学ぶ上でのモチベーションは人それぞれかと思います。単純に好奇心で学びたい,数学教員になりたい,機械学習などの他分野の理論を理解するために数学的知識を身に身に付けたいなど色々とあるとは思います。しかし多くのひとにとって数学は難しく,壁にぶち当たることの連続です。そんな学習コストの高い数学ですが「学ぶ価値はある!」と私自身は考えています。そこで最初に学ぶメリットについて確認してみます。

 

学問的魅力 : 

数学はその結果が普遍です。とても手軽に始められ紙とペンがあれば始められます。また数学の言葉は世界共通なので国際性が高いです。

そしてその性質上抽象度が高く,個々の事象によらず統一的に扱うことが出来ます。社会科学であろうが物理学であろうが同じ方程式を用いていれば統一的に扱えます。

私の周囲でも数学の沼にはまった人たちは言葉通り「命をかえて」数学に時間を費やしていました。ひとによってはそれだけの魅力があります。

 

クリティカルシンキング :  

数学に強い人は「行間を読む癖がついている人」が多い印象です。数学の勉強では常に行と行の間の論理を確認しながら進むので自然と身に付くのでしょう。

また見えない構造を考えることが得意になります。数学をしていると「N次元球面」とか「完全不連結多様体」などイメージできない対象をアタマに思い描きながら研究をしているので、抽象的構造のイメージ作りに長けています。

行間を読む,物事の構造をとらえる能力のいずれもクリティカルシンキングにおいて必要不可欠な能力です。

 

読解力 : 

数学は定義通りに正確に読解することが必要です。当然ほかの学問でもこのことは必要なのですが数学ではとりわけ重要です。個人的には国語の評論文読解力に近い気がします。必然的に数学をすることで読解力,理解力の向上が考えられます。

 

思考の忍耐力 : 

これはあまり聞いたことがないですが個人的にはかなり感じているメリットです。数学には基本的に答えがありますが自力で解を出すことは困難な場合が多いです。したがって一つの問題を解くのに非常に時間がかかります。結果として一つの問題に集中して考え続ける忍耐力が問われます。

社会では答えがないもの,解決が困難な問題が多いです。その問題に対していろんな角度から論理的に考え続けられる能力は重要でしょう。

 

数学力そのもの : 

半世紀前ほどから経済学,金融工学,自然科学の様々な分野で数学の応用が広がっています。特に近年はコンピュータサイエンス分野での応用が加速しており,第3次AIブームもあって数学力のある人材の需要が社会的にも上がっています。

 


2. 大学からの数学ついて

次に「大学からの数学」について説明します。説明の理由は高校までとはかなり毛色が異なるので注意する必要があるからです。「高校までの数学は好きだったけど大学からの数学は嫌い」みたいな人は割といます。ミスマッチしないように内容を確認しておきましょう。

 

マイルストーンが曖昧

これは大学からの勉強すべてに共通していますが高校までのように定期テストや模試があるわけではありません。(期末試験はありますが)点数を追い求めれば勝ち,という分かりやすい目標がないので目的を見失いがちです。

したがって自主性が求められ当事者意識をもって勉強しないといけません。好奇心ドリブンなモチベーションがないと大学での勉強はあまり面白くないでしょう。

 

パターン化されていない

大学での数学は論理的思考と発想力がもとめられます。大学入試までは「パターン暗記」みたい勉強法があるようにわりと暗記で解けます。しかし大学からの数学はパターン暗記では立ち向かえないことが多いです。そもそもパターン暗記できるほど演習問題が豊富でないです。感覚的には入試問題集にある問題を初見で解いていく感じです。したがってきちんと論理だてて記述する能力が必須です。なんでそんな発想が思い浮かぶのかわからないような証明がかなりあったりするので,研究を志すのであれば発想力も育む必要がありそうです。

 

証明問題が主になる(数学科)

文字通り計算問題よりも証明問題が主になります。したがって証明問題や抽象度の高い話題が好きな人は向いているでしょう。パズルっぽい問題解くのが好きとか,式変形や計算問題好きとかの人は数学より物理や工学とかの方が向いてる説はわりと聞きます。

 

周りのレベルが高い

人によるとは思いますがたいていの人は周囲の出来る人間に挫折感を味わうことになるかと思います。レベルの高い大学になればなるほど感じることでしょう。おそらく数学をしたいと思う人の多くは高校までの数学は得意かと思います。しかし数学科に来る学生というのはそういう人が多いです。したがってその中で自分より出来る人はたくさんいるでしょう。「得意だから行く」みたいな安易な理由はわりと危険です。

 

以上が前半のガイダンスになります。後半は脅しみたいな感じになってしまいましたが,意外と把握していない人も多いと思うのできちんと把握しておいたほうが良いと思います。後半は数学書を読む上で必要となる具体的な前提知識についてまとめていこうと思います。